プロンテラの夜の街には聖女がいるという。

 性女ばかりの夜の歓楽街にいるという本物の聖女の伝説。


 その伝説はごく普通の

 そしてかなり鬼畜で

 凄く悲しい恋の物語


「悪ケミたん!またぁ!悪さをしてぇぇ!!」

「そんなこと言ったって〜ひゃうううっ!バッシュはいや〜〜〜!!」

 今日も元気にプロンテラの街に悪ケミたんと騎士子の声が聞こえる。

 その人はその声に少し嬉しそうな顔をしながら子バフォを見つめていた。

「久しぶりね。蜂蜜でいい?

 貴方もあの人の面影が残っているわ。いい男になるわよ」

 彼女は時を止めたように美しかったと父は言った。

 凛とした言葉。艶やかな肌。髪は手入れをされて黒く美しい。

 香水などではない芳しい匂いは、大きく開いたプリースト服のスリットの間から子バフォの鼻をくすぐる。

「お気遣いは構わぬ。……」

 短い沈黙の後、先に彼女が口を開く。

「母上でいいわよ。

 血は繋がっていないけど、父は同じなのだから。

 悪ケミたんは元気そうね。声を聞いて分かるわ。凄く楽しそう」

 歓楽街の小さな部屋は綺麗で質素だった。

 コップの中に蜂蜜を入れる彼女の胸からロザリオが覗く。

「恨んではござらぬのか?」

 ぽつりと、けど聞き出したかった言葉を言うのにこれほど勇気がいる事を子バフォは初めて知った。

「そうね。恨んでいるわ。殺したいぐらい」

 今日の夕食はカレーというぐらいにあっさりと朗らかな声で彼女は答えた。

「そうか…」

(予想していた言葉。けど、この言葉を聞いてどうするというのだ?)

「さぁ、めしあがれ」

 暖めた蜂蜜を注いだコップを子バフォに差し出したその彼女の顔は本当の聖女のようだった。


 前々から兆候はあった。

 ダンボールハウスで暮らす悪ケミたんの悪事(いたずら)の数々に手を回して謝っていた存在。

 割れたガラスは弁償され、荒らされた露天は商品全てを買い占められ、時々悪ケミたんの気づかないように悪ケミハウスのダンボールを補強していたりもした。

 最初は騎士子あたりだろうと思ったが、当人達の知らぬ所でやられたら悪ケミたんを守るために来た子バフォの立場が無い。

 そして、地道な調査の結果彼女にたどり着いた。

 その事を話した父の顔がまた忘れられぬほど苦渋に満ちていたからこそ会おうと思った。

 数え切れないほど人を殺し犯してきた父バフォメットに苦渋の顔をさしてみせた悪ケミたんの母プリーストに。

 コップの中の蜂蜜には手をつけずに何を言っていいか分からない子バフォ。ただ、時間は刻々と過ぎて行く。

「子ばふぉ〜何処〜〜?

 おうちに帰るわよ〜〜今日はお芋と人参のハーブスープだよ〜〜」

 遠くから悪ケミたんの声が聞こえる。こういうときの悪ケミたんの顔は迷子の子犬のようなのを子バフォはよく知っている。そして多分彼女も。

「今日はもう帰りなさい。

 そうね。今度は夜に来て。

 私の仕事を見たら、きっと何か答えを見つけると思うから」

 子バフォはそう悪戯っぽく微笑んだ彼女の顔が悪ケミたんにそっくりだと思った。



「ああっ!ひっ・・そんなにすっちゃ…ああっ…いいのぉ…」

 夜の闇の中、彼女は雄に囲まれて喘いでいた。

 それを子バフォはじっと見つめている。

 身に付けているのはマタの首輪と足鎖とロザリオ。

 このロザリオが無ければ、彼女だと分からないほど淫らに彼女は雄を求めた。

「いいっ・・いいのぉ・・・もっと…もっと私を汚してぇ!!」

 その声に興奮して更に彼女を乱暴に犯すオーク達の群れ。

 オークの物を両手で扱き、口でしゃぶり、下半身の二つの穴に差し込まれ、彼らの白濁液を浴びつづけてさらに卑猥に喘ぐ彼女。

 オーク村の一室で行われている淫靡な宴に子バフォはそれを信じることができなかった。

 彼女は父が犯す前まではプロンてラ大聖堂を担うであろう才媛として名をはせていたというのだから。

「ああああっ!!中にだされるぅぅう!!まだ中に…もぅ……入りきれない…ぁぁ……」

 一匹のオークが彼女の中に白濁液を大量に注ぐ。入りきれず、穴からこぼれる白濁液。

 見ると彼女のお腹は白濁液でかなり膨れている。

 夜、悪ケミたんが寝てしまった後にこっそりと抜け出して約束どおりやってきた子バフォの前に、マタの首輪と足鎖とロザリオしかつけていない彼女がワープポータルでこの部屋につれて来たのだ。

 彼女と子バフォがこの部屋についた時には、オークヒーロー以下オーク達はみな彼女を待っていた。

 昼間の彼女とはうって変わって卑猥に足を広げて「きて…」と一言。それがこの宴の合図だった。

 オーク達がマタの首輪を持って白濁液まみれの彼女の足を広げる。

 その豊満な乳首にオークレディから持ってきたのだろうイヤリングを両乳首にくっつける。

「ひゃううううううっ!乳首が……乳首が痛くて…いいっ!!」

 そのよがる様子を見ていたオーク達が中に外に白濁液を注ぎまくる。

「どうした?子バフォよ。主人が心配か?」

 子バフォが彼女から顔をそらすとそこにオークヒーローが子バフォを見つめていた。

「我の主では無い。あの女は我の主の女だ」

 本当の事をいうのもまずいと思った子バフォは咄嗟に嘘をついた。

 それは主−悪ケミや父−バフォメットに対する配慮なのか、自分が見ているものを信じられない拒否反応からかは子バフォにも分からなかった。

「そうか。バフォメット殿か。

 バフォメット殿も素晴らしい事を考えるものだ。

 人間に殺された同族たちに人間の女を犯して孕ませて彼らを慰めるとはな…」

 しきりに感心するオークヒーローに内心の疑問を抑えながら子バフォは必死に言葉を紡ぐ。

「父上が?」

「お主知らなかったのか?」

「いえ、ただ付き従えと言われ」

「そうか。だが今回は我らオークがやつを孕ませるのだ。

 我らは多産ゆえ、拘束するのは数日でいい。やつに精を注ぐのは次の機会にせい」

「あああっ!!二本も同時に入れちゃ…ひぃぃぃぃ!!中でこすれるぅぅぅう!!!」

 立ったまま前後を同時に犯されてよがる彼女を見て楽しそうに笑うオークヒーロー。

 長として多くの同族を殺された恨みを晴らすように彼女が犯される所を見ていた。

「いいぞ、我らの精でそいつの中も外も白濁液だらけにするのだ!

 何しろやつは、ミノタウロス・半漁人・ゴブリン等に孕まされて子を産み、ヒドラやタラブロックの卵まで孕んだ我らの家畜なのだ!

 好きなだけ犯すがいい!」

 楽しそうに笑うオークヒーロー。だが、その目に涙が光っていたのを子バフォは見逃さなかった。

「知っているか?

 いま、やつの犯しているオークは家族を人間に殺された。

 やつがつけたイヤリングはイヤリングを持ってきたオークの恋人の形見だ。ただイヤリング欲しさに殺した人間のな!

 我らは確実に人に住む場所を奪われている。

 それでも我は誇りを持ち、この大地に古くから住まう者として人間どもに戦いを挑む。

 あれは、その為の贄だ。大事に使うさ」

「いくぅううううううう!!!いっちゃうううう!!!いきっぱなしよぉぉおお!!」

 オークヒーローが語り終えるのと、オーク最後の一匹が精を出し尽くして彼女が鳴いたのはほぼ同時だった。

「よし…我が最後か…我の物で貴様を孕ませてくれる。嬉しいか?」

「う…うれしいのぉ…そのおっきいのをくださぁい!おっきいので私を貫いてぇ…オークの子を孕ませてぇぇ!!」

 口をだらしなく開けて、オークヒーローの物をしゃぶりだす彼女は昼間見た彼女とはあまりにも違いすぎていた。

 四つんばいで下腹が膨れ、白濁液まみれで嬉しそうにオークヒーローの物をしゃぶる彼女の姿が悪ケミとだぶる。

「ちゅちゅちゅ…ああ…びくびくしているぅ…こんなの入らないよぉ……ちゅちゅ……」

(笑った!?)

 嫉妬とも欲情とも怒りとも悲しみともつかない感情をルビー色の瞳の中に秘めていたのを彼女に見られ、彼女はそんな子バフォに対して目で笑った。

 まるで、「かわいい」とも「心配しないで」とも「大丈夫だから」とも言っている様な彼女の視線はまた一心不乱にしゃぶりつづけるオークヒーローのものに戻っている。

 楽しいこと大好きで、負けず嫌いで、一生懸命で、心配性。

 そんなとこは親子ともそっくりだと思うと心の中にあったもやもやしたものがすっと消えているのに気づいた。

「そら。そろそろいくぞ」

「あひぃぃいいいいいいいい!!ささるぅうううう!!ぶっといのぉおお!!!」

 四つんばいのままオークヒーローに貫かれてそのまま手を捕まれて持ち上げられる。

「ああっ!こわれるっ!ぶっといのがささって…あああっ!!いいのぉ!!」

 接合部からだらだらとオーク達の白濁液をたらしながら宙吊り状態になった彼女はだらしなく口を開けていやらしく腰をオークヒーローに振りつづける。

 オーク達の白濁液で膨らんだお腹はオークヒーローのものの形に膨れ、両乳首につけられたイヤリングからも白濁液に汚されていやらしく光る。

「ああっ!いいのっ!もっと犯してぇぇ!もっと汚してぇぇぇ!!

 みんなの恨みや悲しみを私にぶっかけてぇえええ!!!」

「うっ…いくぞっ!!我らの同族を孕むがいい!人間のいやらしい家畜がっ!!」

「あああああああああああっ!!いくぅぅぅうううううう!!!」

 オークヒーローに大量の白濁液を出されてイった彼女の顔は、神の声を聞いたような歓喜に満ちていた。



 オーク達が去った後、残ったのは子バフォと彼女だけだった。

 彼女は鎖で繋がれ、膨らんだお腹と大量に出された白濁液は事が終わった今でもまだ垂れてくる。

「子も子なら…母も母か…」

 子バフォがオークヒーローからもらってきた、りんごジュースやぶどうジュースや赤ポーションや青ポーションなどを立ち上がる事のすらできない彼女に飲ませてあげる。

 オークヒーローも分かっていて、今日一日は誰もこの小屋に来ない事になっている。

「はぁはぁ……まだ、悪ケミたんにはこんな楽しい事は教えてないでしょうね」

「教えたくも無いぞ」

「えらいえらい」

 即答で答える子バフォに彼女は震える手で子バフォをなでてあげる。

「オークヒーロー殿から生むまでよろしくと。それと…すまないとも言っていられた」

 事が終わって、オーク達を追い出す時にオーク達が彼女を見る姿勢が変わった。

 家畜のはずなのに、彼女のために布を用意して体を拭いてあげ、彼女を横たえてあけだのだ。

 イヤリングを乳首につけたオークは「彼女にやってくれ」子バフォにそっと囁いていた。

 オークヒーローは彼女に渡してくれと子バフォに小さな小箱を渡した。中に入っていたのは「オーク勇者の証」だった。

「どう言う事だ?

 あんなに荒々しく犯していたオーク達が貴方に敬意を払っている。

 それなのに彼らはまた貴方を明日犯すという。

 オーク達の子ができるまで」

 子バフォは本当に混乱していた。自分が見た世界を。

 本来ありえない世界。魔物と人の交流。

「あら?じゃあ、貴方と悪ケミたんの中はただの支配関係?」

「違う!我らは絆で結ばれ……て……」

 沈黙する子バフォ。やっと分かったからだ。なぜ彼女がこんな淫靡な宴の贄に進んでなるのか。

「昔話をしましょうか。

 むかしむかし、負けず嫌いで自信家のプリーストがいました」

 彼女自身の事を言っているのは子バフォにも分かった。

「自信家の彼女はバフォメットでも倒せると思って彼に戦いを挑み、負けて犯されてしまいました。

 あの時の痛みと量は凄かったんだから。

 今でも覚えているわ」

 楽しそうに笑う彼女。きっと今のようにお腹を膨らまして白濁液をたらして捨てられたのだろう。

「それから彼女は修行したわ。もっと力をやつを倒せるようにとね。

 そしてまた彼と戦った。今度は私が勝ったのよ。

 彼に止めを刺そうとした時何が起こったと思う?」

 彼女の目は子バフォでは無く、過去を見ていた。

「貴方よ。貴方じゃないかもしれないけど、よちよちの子バフォが私と彼の前に立ったのよ。

 あの大きな鎌を持てずにふらつきながら、彼を守るようにね。

 私は気づかされたわ。人を助けることが、人以外の者を助ける事にならないって。

 私には、必死になって私から彼を守ろうとする子バフォを殺すことはできなかった。

 結局、その日はそのまま帰ったのよ」

 子バフォには彼女が話したような記憶は無い。

 兄弟達はたくさんいる。そして彼女が言うとおり沢山、兄弟も人間に殺されている。

「三度目。枝テロで彼が呼び出された時にには彼を殺す気にはなれなかった。

 彼を教会の物置に隠して、こう言ったのよ。

 『私は貴方が憎い。だけど貴方を殺せない』って。彼何と言ったと思う?」

 首を振る子バフォなど構わずに言葉を紡ぐ彼女。このあたりも悪ケミたんとよく似ている。

「『憎まないと殺せぬ。我が汝を犯した事を怒りに変えて我を殺せ』と。

 彼も分かっていたのよ。人を殺しても息子達が帰ってくる訳でもない。その空しさに。

 ただ戦う為に人を憎んでいるだけだと。

 その言葉を聞いた時には彼の唇を奪っていたわ」

 顔を赤めて恥ずかしそうに首を振る彼女だが、子バフォに言わせるとさっきまでの淫らな姿の方がよっぽど恥ずかしいのではないかと心の中でつっこんでおいた。

「私は教会を抜けたわ。悪ケミたんができたのは最初に犯された時なのか分からないけど、それ以後も彼と会って逢瀬を重ねていたからそっちの時にできたと思いたいな。

 だって、悪ケミたんって私譲りの負けず嫌いで、彼ゆずりのやんちゃ坊主でしょ♪」

 くすりと悪戯っぽく笑う彼女。そういう人の事を気にして自分の事に無頓着なあたり悪ケミたんとそっくりだとつくづく子バフォは思った。

「私は彼と逢瀬を重ねだしてから年を取らなくなったわ。

 延々と子が生める体になった。しかも人より速く、どんな魔物の子でも生めるようにね

 最初は神の罰だと思った。けど最近神様のご褒美じゃないかって思うようになったのよ」

 もう一度、しっかりと子バフォの頭をなでてやる。

「貴方達のおかげよ。人と魔物は分かり合えるって証明してくれた。

 魔族の長と人が分かり合えるのですもの。きっと人と魔物は分かり合える日が来る。

 だから、私はこんな仕事をしているのよ」

「ふぁ…」

 彼女の口からあくびが出る。

「さすがに疲れたから眠るね。あ、そのイヤリングとオーク勇者の証は売って悪ケミたんの生活費にしなさいな」

 言いたい事を言って彼女はゆっくり目を閉じて寝息を立て始めた。

 子バフォはやれやれという感じて、布を彼女にかけてやって小屋から出ようとする。

 子バフォの背後から声が聞こえたのはそんな時だった。

「彼に伝えてあげて。貴方を恨んで、殺したいぐらい愛しているって」

 子バフォが振り向くが狸寝入りをする彼女を起こす事なく部屋を出て行った。



「悪ケミたん!またぁ!悪さをしてぇぇ!!」

「そんなこと言ったって〜うわぁあああん!槍で突かないで〜〜〜!!」

 今日も元気にプロンテラの街に悪ケミたんと騎士子の声が聞こえる。

 子バフォは悪ケミたんと騎士子たんの追いかけっこを見ながら、彼女からもらったイヤリングをじっと見つめる。

 それを道具屋に持っていって換金して街の弁償をしないといけない。

 余ったお金で夕飯を買わないといけない。今日は少しだけ豪勢にお肉を多く入れたカレーにしよう。

 何しろ聖女様から悪ケミたんへのプレゼントなのだから。




 プロンテラの夜の街には聖女がいるという。

 魔物の間に広がったその伝説は、

 性女ばかりのプロンテラ夜の歓楽街に魔物すらにも股を開くいう本物の聖女の伝説。


 その伝説はごく普通の

 そしてかなり鬼畜で

 凄く悲しい恋の物語


 そしてほんのちょっぴりの暖かさを聞く者の心に宿したという。




 あとがきみたいなもの


 自分の文才がどれぐらいあるのか試したくて、自分の一番得意な形での18禁小説を投稿してみたというのが動機。

 元々は萌えスレでの悪ケミの書き込みで「悪ケミはバフォメットとプリーストの子だ」という書き込みから妄想。

 話としてまとめる為に、エロシーンが全体の1/3程度になったので心配だったけど、みんなの書き込みを見て狂喜乱舞したのは秘密。

 これ以降、ママプリをひたすら書いていこうと決意。


 ……実は、このタイプしか書けないというのは内緒(まて)