私はゴキブリである。
名前は……まぁ、考えてくれ。
一応、われわれの種族はモンスターというものに分類されてはいるが、人にも魔族にも嫌われている事については一族の誰もが認識している。
……え?なんでゴキブリの癖にそんな知能が高いかって?
自慢じゃないがわが一族が進化過程において魔物はおろか人よりも遥かな時間と激変しつづけた環境に耐えつづけた栄光の種族である事を皆は知らなすぎる。
金色に輝いて下水を疾走するだけの目立ちたがりの突然変異とは進化の根気が違うと声を大にして言いたい!
私みたいな種もあと何万年もという短時間で認知される予定であるから首を短くして待ってもらいたい。
さて、私はこの世に生を受けて下水一階をねぐらにしていたのだが、観察するに人というものは実に面白い。
わが同族を一生懸命叩いて逆撃を受けているノビもいれば、「むだむだむだぁぁ!!」と叫びながら同属を踏み潰す剣士などがいる。
我を見ただけで気絶するアコライトもいれば、壁の向こうからアークワンドを出して近づけさせないようにファイヤーウォールを張るマジシャンもいる。
実に興味深い。
さらに面白いのが彼らの触覚の変遷である。
ウサギみたいな耳を生やして聴力を増している者もいれば、目が退化しているのかどこにあるのか分からない者や、頭から剣を刺して怪我をした者もいる。
なんとすばらしい!
この人間どもの多種多様な進化の変遷たるや、何億もかかって大地を征服した我らですら思わず羨望せざるにはおられない。
決めた。
ここから去り、人間達の街に行って人間の進化の秘密を見ることにしよう。
そして、人間どもの進化の秘密を調べでわが一族が更なる高みに……
ぶちっ!!!
子バフォ「主よ。だからよそ見して歩くから……」
悪ケミ 「泣いてなんかないもん!泣いてなんかないんだからねっ!!」(T-T)
あとがきみたいなもの
しょーとしょーととして、書いてみた作品。
けっこう自分の中では実験作だったりする。